私の転職ブラックヒストリー

入社後、マネージャーとして痛感した杜撰な採用計画とチーム構築の失敗

Tags: 転職失敗, マネージャー, 採用活動, 組織運営, チームマネジメント

はじめに

私は過去の転職で、マネージャーとして入社したものの、組織全体の採用計画の杜撰さに直面し、結果としてチーム構築に失敗するという苦い経験をいたしました。この経験は、自身のマネジメント能力だけでなく、入社前に確認すべき組織運営の側面や、マネージャーとして採用にどう関わるべきかについて、重要な教訓を与えてくれました。

本稿では、私の具体的な失敗談を通じて、杜撰な採用計画がチームや組織にどのような悪影響をもたらすのか、そしてそこから学ぶべき反面教師としての教訓をお伝えしたいと思います。皆様が今後の転職活動や、入社後のマネジメントにおいて、同様の失敗を避けるための一助となれば幸いです。

期待と現実:着任直後のチーム状況

私が転職し、新たな会社でマネージャーとして着任した際、与えられたミッションは明確でした。それは、既存チームの生産性向上と、人員体制の強化による事業拡大への貢献でした。前職で培った経験とスキルを活かし、このミッションを達成するべく、意欲に燃えていました。

しかし、着任後すぐに、既存チームのメンバー構成に課題があることに気づきました。特定のスキルや経験を持つ人材が不足しており、目標達成に必要な能力がチーム全体として十分に備わっていない状況でした。メンバー一人ひとりは真面目に業務に取り組んでいましたが、構造的な問題として、個々の能力を最大限に活かせる体制にはなっていませんでした。

この状況を改善するためには、外部からの新たな人材採用が不可欠であると判断し、追加採用の計画を進めることとなりました。

杜撰極まりない「採用計画」の全貌

採用活動を開始するにあたり、私は組織内で共有されていた「採用計画」と称される資料を確認しました。しかし、その内容に私は大きな衝撃を受けました。

その資料に記されていたのは、単に「〇名増員」という目標人数と、漠然とした募集職種名のみでした。求める具体的なスキルセットや経験レベル、チームに加わってもらうことで達成したい役割や目標、ターゲットとなる候補者層に関する記述はほとんどありませんでした。さらに、候補者を選考するための明確な評価基準や、面接プロセスにおけるチェックポイントなども曖昧模糊としていました。

採用担当部門と現場である私たちの間での具体的な連携プロセスも確立されておらず、「とりあえず人を増やせばいい」という、極めて場当たり的な姿勢が透けて見えました。採用予算についても不明瞭な点が多々あり、どのような人材を、どのくらいのコストをかけて採用できるのかが見えない状況でした。

この時点で、私はこの採用計画が、事業戦略やチームのあるべき姿に基づいたものではなく、単なる人員補充のリストにすぎないことを痛感しました。

杜撰な計画が招いた採用活動の失敗

このような杜撰な採用計画のもと、私は困難な採用活動を進めることとなりました。現場主導で、チームに必要なスキルや経験を持つ「求める人物像」を改めて定義し、採用担当部門との間で擦り合わせを試みましたが、前述の計画の曖昧さから、認識のズレが生じやすく、プロセスは遅々として進みませんでした。

結果として、多くの時間と労力をかけて求人募集を行いましたが、応募者の多くは、私たちの求めるスキルや経験レベルに達していないか、あるいはスキルはあっても組織文化やチームの雰囲気にフィットしそうにない方々でした。面接官の間でも評価基準が共有されておらず、合否判断にブレが生じることもありました。

最終的に、数名の採用には至りましたが、残念ながら当初期待していたレベルや専門性を持つ人材を確保することはできませんでした。これは、計画の段階で「誰を、なぜ採用するのか」が明確に定義されていなかったことが、採用活動のあらゆる側面に悪影響を及ぼした結果でした。

チーム構築の停滞とマネージャーの苦悩

期待した人員強化が進まなかったことは、チーム構築に深刻な影を落としました。既存メンバーへの業務負荷は軽減されず、むしろ新しく加わったメンバーのオンボーディングや育成に新たなエネルギーが必要となり、チーム全体の生産性はなかなか向上しませんでした。

また、採用されたメンバーの中には、入社後に自身のスキルやキャリアパスとチームの現状との間にミスマッチを感じ、モチベーションが低下する人も見受けられました。マネージャーとして、メンバーの意欲を引き出し、チームをまとめようと懸命に努力しましたが、根本的なリソース不足とミスマッチという構造的な問題があるため、状況を劇的に好転させることはできませんでした。

この失敗により、私は当初与えられたミッションの達成が困難となり、自身のマネージャーとしての評価にも影響が出始めました。私個人の能力不足ももちろんあったかもしれませんが、それ以上に、組織全体の採用に対する意識の低さと、杜撰な計画が招いた結果であると強く感じました。

この失敗から見えた根本原因

私のこの失敗体験を振り返り、根本的な原因を分析すると、以下の点が挙げられます。

  1. 組織的な計画性の欠如: 採用が、事業戦略や組織のあるべき姿、チームの課題解決といった高次の視点からではなく、単なる欠員補充や場当たり的な増員要望として捉えられていました。将来を見据えた戦略的な人員計画が立てられていませんでした。
  2. 部門間連携の不足: 採用担当部門と現場の部門との間で、採用の目的、求める人物像、選考基準などについて、深いレベルでの連携と擦り合わせが不足していました。それぞれの役割分担も不明瞭でした。
  3. 経営層の採用への意識: 経営層が採用を組織の将来を左右する重要な投資であると認識せず、採用プロセスや計画に戦略的に関与する姿勢が見られませんでした。場当たり的な意思決定が横行し、計画に一貫性がありませんでした。
  4. 自身の情報収集不足/アサーション不足: 私自身も、入社前の段階で、企業の採用戦略やプロセス、自分が関わるチームの採用計画の現状について、より具体的に質問・確認すべきでした。また、入社後も、採用計画の問題点に早期に気づきながらも、組織文化への配慮からか、改善に向けてより強く働きかけ、必要なアクションを主張することが十分にできませんでした。

反面教師としての教訓:何を学び、どう行動すべきか

この苦い経験から、私は多くの重要な教訓を得ました。特に、今後転職を検討される方や、すでにマネージャーとして活躍されている方が、同様の失敗を避けるための反面教師として、以下の点を強くお伝えしたいです。

結論

私の経験は、マネージャーとして入社する際に、事業内容や組織構造だけでなく、「採用」という側面にも目を向け、その計画性やプロセスをしっかりと確認することの重要性を示しています。杜撰な採用計画は、マネージャー個人の努力だけでは覆せない壁となり、チーム構築の失敗、ひいては事業目標の未達につながりかねません。

採用は組織成長の生命線です。特にチームを率いるマネージャーにとって、どのような人材をチームに迎え入れるかは、自身の成功だけでなく、チームメンバーの働きがいや組織全体の未来を左右する重要な責務です。

この私の失敗談が、皆様が次の転職先で、あるいは現在の職場で、より良いチームを作るための「反面教師」となり、戦略的で質の高い採用活動を実現するための一助となれば、これほど嬉しいことはありません。